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花火競技大会

投稿日:2017/03/31

株式会社磯谷煙火店 磯谷尚孝

 子どもたちが習い事を始めしばらくすると、発表会に参加することになる。楽器で言えば、ピアノ、バイオリンなんかがそうである。習い事がスポーツだとすると、試合への参加だ。技能、技術のステップアップのためには、発表会、試合は良いキッカケになるし、習熟への近道だと思う。

 

初代 花火の歴史を調べても、古くから競技会は行われていた。競技会とは言わないまでも、よその村との腕比べなんかはいつも行われていて、日本の花火技術の発展に大きく寄与したことと思われる。弊社最古の写真は大正12年頃に撮られたが、人物の後には優勝旗が並んでいる。

 

 競技会への出品により、細部を突き詰め、花火作りに関する課題も浮かび上がってくるものだ。競技会に参加しなければ、刺激も得られないし、自己満足で終わってしまいやすい。ただ、日本各地の競技会を見渡すと、参加者に比べ競技会の数が相当あると思う。花火大会の目玉として使われたりする。たくさんの競技会に出品すれば、作り手側にとって意義のある目的は薄らいでいく。花火を売るのと同じ感覚に近くなるような気がする。花火競技大会を楽しみにされている花火ファンも多いと思うので、こんなことは言い辛いが、私はどうも競技会を好きになれない。学生時代、テストが嫌なのと同じ感覚なのかもしれない。また、出品作の心配ばかりして、楽しむことは到底できないからだ。そうはいっても、意義のある競技会への出品は続けていかなくてはならないと、自分自身に言い聞かせている。