ごあいさつ

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 日本における花火発祥の地は、三河(愛知県東部)だと言われています。岡崎は徳川家康の生誕地ということで、江戸幕府の火薬使用の制限が他の地域に比べ緩やかだったことが一因とされています。

 現在日本各地で見られる丸い打揚花火の歴史は意外に新しく江戸時代の後期からです。当初は農⺠が秋祭りの娯楽の一つとして花火を作っていました。

 しかし、花火製造には常に事故がつきまといます。特に大正から昭和の初めは事故が多発した時代で、花火製造は苦難の道でした。記録によるとその時代、新しい花⽕原料の化学的知識情報がないために、愛知県内で年平均4人以上の死者を出しました。そんな悲惨な状況でも花火作りの継承は脈々と続き、途絶えることがありませんでした。私の先祖は、人身事故に遭遇しなかったこともありますが、そんな時代を通り抜けてきたのです。その花火作りへの情熱には圧倒され、頭が下がります。

 そして現在、その想いを次世代に引き継ぐ使命感を感じています。

 一般の人にとって花火は夏の風物詩の一つで、それ以上のものではないと思いますが、いかに花火の奥深い美しさ、花火に作りに込められた想いを伝えられるかが、今花火作りを受け継いでいる私たちにとって大きな課題です。

 言うまでもなく、一目見てそれが伝わるような花火を作るのが私たちの役割です。そのために日々小さな改良を繰り返しています。

 一人でも多くの方に、日本の花火文化の素晴らしさをわかっていただき、花火を見極められる観覧者が増えていくことを願っています。

 

<磯谷尚孝プロフィール>

昭和58年東京工業大学化学工学科卒
昭和58年磯谷煙火店入社
平成7年代表取締役に就任
平成21年愛知県煙火組合長就任(現退任)
平成26年愛知県郷土伝統工芸品優秀技術者表彰
平成27年岡崎市産業功績者表彰
平成27年愛知県優秀技能者表彰(あいちの名工)
平成29年(公社)日本煙火協会会長就任(現退任)
令和4年(一社)日本煙火芸術協会会長就任
令和4年卓越した技能者「現代の名工」厚生労働大臣表彰