磯谷煙火店

株式会社磯谷煙火店　磯谷尚孝

　花火業界だけでなく、日本だけでなく、世界中が新型コロナウイルスに翻弄された1年でした。実に全国の花火大会の9割がなくなったと言われています。私たちが担当する花火大会も、ISOGAI花火劇場と1回の長島温泉花火大競演くらいで、残りはことごとく中止となりました。

　花火業界の中でも一番影響を強く受けたのは、実際に日本の花火を作っている業態の会社で、日本花火の根幹を揺るがしています。花火製造会社は地道にコツコツとやってきた会社が多いのですが、コロナの猛威はそんなことお構いなしです。

　花火大会がなくなったことで、逆に花火切望熱が日本中からわき起こったのは意外でした。衣食住に関係のない花火はなくてもいいもの、とはならなかったようでした。丸い花火（割物）の歴史は皆さんが思うより浅く、江戸後期からの歴史しかありませんが、現代の日本文化に深く根付いていることが実感できました。また、全国色々の地域で花火関連のクラウドファンディングが立ち上げられました。日本の花火を応援していただけるお気持ちはとても心強いです。ただ、これだけでは持ちこたえられないのも事実です。

　コロナ感染第3波も未だピークが見えず毎日過去最高とマスメディアが伝えています。このような状況下で先が見えず、ますます不透明感が漂います。今は明るい2021年を信じ、花火作りへのモチベーションを失わないようにしています。

2020ISOGAI花火劇場　秋元拓也氏撮影