お知らせ
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投稿日:2017/08/12
株式会社磯谷煙火店 磯谷尚孝
私たちの仕事は、原料である粉末の化学薬品などから、最後は観覧者の目前で花開かせるまで、花火を見守り続けます。花火が自分の思い描いたように開くにせよ、失敗するにせよ最終結果が見られます。失敗した時は、次回どのように工夫したら成功に近づけるか色々考えます。また手作業が多く、花火に触れている時間が長いためか、作った花火に愛着がわきます。このあたりが花火作りの楽しさの一端かもしれません。だから花火を送り、先方で打ち揚げてもらい自分では見られない時などは、残念で複雑な気持ちになります。
また「今作っている部品が何のために必要で、世の中にどうように役に立っているかわからないことがある。」という話を自動車パーツの製造に関わっている方から以前聞きました。このようなケースは世の中に多いのかもしませんが、私たちはそんなことはありません。
私たちは花火作りから演出まで手がけているので、いわば花火の専門家です。私たちのことを何と呼ぶのでしょう?大曲新作コレクションでは珍しい呼び方ですが花火作家と呼ばれています。言われてみれば、そうかもしれませんね。他には花火師でしょうか?以前花火を打ち揚げるだけの人も花火師と呼びますか、と尋ねられたことがあります。はっきりした定義はないのでしょうが、どうもそれは腑に落ちません。一般的には花火屋かもしれません。花火屋にはちょっと見下した感もありますね。何回か今までに「なんだ、花火屋か!」と言うフレーズを聞きました。私は自分が好きでこの仕事に就いたのであまり気にしませんが、自分からこの言葉は使わないようにしています。先日テレビで、すごくこだわりを持ち人生を賭けている八百屋さんがいることを知りました。花火屋も、八百屋も、魚屋どの業種でも、関わる方々のその仕事への姿勢は色々でしょう。仕入れた原料から花火を作り、それに利を乗せて生活のためだけに販売する花火屋にはなりたくありません。他の人にどう思われようが、この仕事に誇りを持って花火と向き合っていきたいものです。