お知らせ
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投稿日:2016/09/29
株式会社磯谷煙火店 磯谷尚孝
今年のファンミーティングの時か、その後か記憶がはっきりしませんが、ある女性の会員から花火の玉名が覚えられず苦労している話を伺いました。は〜、確かに創造花火系の玉名は別にして、伝統的割物花火の玉名は難解な漢字が並んでいますね。例えば昇曲導付八重芯錦先之紅青銀乱などです。花火に興味を持ち始めて最初の関門が玉名かもしれません。よくよく聞いてみると、本の情報と実際目で見た情報が結びつかないようでした。
日本人が外国語を勉強するのに、先ず教科書に書かれた文字から学びます。でも外国語を話すネイティブは、親の話した言葉を耳から覚え始めます。その違いで、日本人はネイティブのようにはなれません。私は目から認識できる特徴で分類を始め、それが玉名に結びついています。彼女は花火の本から入ったものだから、苦労を感じているのでしょう。
玉名に限らず、花火用語は歴史的、地域的な影響を受けていて、同業者と話していても戸惑うことが度々あります。花火作りをしながら社内で話している分には、お互い共通の認識でコミュニケーションしているので何の問題も発生しませんが、他の花火会社の方と話す時はそうはいきません。いわゆる方言による違いが発生します。玉名もある程度系統立てて作られてはいますが、個別の話になると、同じ種類の玉に違う玉名を二つも三つもつけることもできます。
また、人は印刷された活字に弱いとよく言われます。つまり活字になっていると、日本全国花火に関わるすべての人は本の情報と同じ認識を持っていると勘違いしますが、実際は全然そんなことはありません。本と同じ認識の人が、著者の周りに多かっただけだと断言できます。
例えば本と三河地方で比較すると
(本)・・・(三河地方)
千輪菊・・・百花園
光露・・・光(ひかり)
昇分火・・・昇乱玉(のぼりらんぎょく)
ちょっと思いつくだけでもこれくらいはあります。花火の発祥が三河地方だといっても、他地域の方と話す時はこちらも気を遣い標準的な言葉を選びます。私は本に書かれた花火用語と自分の認識はよく違っていますし、彼女のように本を読んだ後花火を見て玉名がわからないのは、むしろ本の解説が悪いからだと思っています。玉名なんて気にしなくても花火は楽しめるから気にしないようにしたら、と私は彼女に伝えたのです。
さあ〜玉名の呪縛から逃れ、花火を楽しみましょう!
それでも花火の玉名を勉強したい方は「プーさんの花火うんちく」へどうぞ!